シミが出来る仕組み


シミ(老人性色素斑)が出来る仕組みは、現在もまだ解明されていない部分が多くあります。

しかし、紫外線が大きな原因の一つであり、紫外線から肌を守るために生成されるメラニン色素が、うまく排出されずに沈着してシミになるということは、すでに述べてきたとおりです。

ここでは、詳しくシミの仕組みを見ていきましょう。


・皮膚の構造とターンオーバー

まずは皮膚の構造を知っておく必要があります。

皮膚は、表側から奥に向かって、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。

さらに表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層で構成されています。

細胞の分裂や増殖を担う基底層で生成された細胞は、有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞と形を変えながら皮膚表面に押し上げられ、最終的には垢(あか)となってはがれ落ちます。

この生成された細胞が垢となって排出されるまでのサイクルはターンオーバーといわれており、1サイクル通常約28日間かかります。


・メラニン色素

表皮を構成する細胞の95%は、角化細胞(ケラチノサイト)と呼ばれており、角化細胞は基底層でどんどん分裂して生成され、最終的にはターンオーバーで垢となってはがれ落ちます(角化)。

シミの原因になるメラニン色素を生成する細胞は、色素細胞(メラノサイト)と呼ばれ、表皮の基底層にあります。

メラニン色素は色素細胞で常に作られ、周りの角化細胞に送り届けています。

メラニン色素はチロシンというアミノ酸から生成されます。

チロシンはチロシナーゼと呼ばれる酸化酵素により、メラニン色素へと変化します。

皮膚に紫外線が過剰にあたると、細胞が死んだり変異したり、最悪の場合は皮膚癌を引き起こしたりします。

それを防ぐために、基底層の色素細胞は、メラニン色素を過剰に産生します。

色素細胞の数も増えてきます。

この一連の働きは、有害な紫外線を肌の内部まで侵入させないように、肌をメラニン色素で黒くすることによって守ろうとする体の自然な働きによるのものです。

そもそもメラニン色素とは、微細な黄褐色の色素です。

皮膚の表面に近いほど褐色調は強くなり、その量が多いと黒褐色、あるいは黒色に見えてきます。

皮膚の深くに入ると青色調が強くなり、たとえば赤ちゃんの蒙古斑は、表皮の奥の真皮の中にメラニン色素が増えたものです。


・シミの生成

さて、角化細胞に供給されたメラニン色素は、通常ターンオーバーによって1か月程度で剥がれ落ちていきます。

しかしながら、紫外線を長期間浴び続けて過剰にメラニン色素を産出したり、加齢やストレス、ホルモンバランスによりターンオーバーが乱れてしまうと、メラニンがうまく排出されず肌内部に停滞してしまいます。

結果、肌内部に沈着したメラニンが褐色調の色味を帯び、肌表面に浮かび上がって来ます。

そもそもメラニン色素は常時生成されているものなので、シミは周囲よりもメラニンの量が過剰で、皮膚の色が濃く見えている状態ということです。

これがシミのできる仕組みです。